
2巻では、謡のトラウマと向き合う現実が描かれました。
そして3巻では、その現実の中で「それでも恋を続けるのか」が問われます。
過去から逃げることはできない。
それでも誰かと一緒に未来を歩けるのか。
そんな問いに向き合う、とても印象的な巻でした。
「初恋ダブルエッジ」3巻のあらすじ
謡が体調を崩した出来事以来、謡と戸野田譜(との)はお互いに連絡を取りづらくなっていました。
謡は連絡をしようと悩み続けますが、なかなか踏み出せません。そんな中、とのから電話がかかってきます。
声を聞いた瞬間、それまで悩んでいたことが嘘のように、二人はいつものように会話を始めます。
しかし、謡が「会いに行こうかな」と言った瞬間、とのは強く言います。
「来るな!」
その場所は、3年前に謡が襲われた事件現場の近くでした。
謡を守りたいという思いからの言葉でしたが、謡はその言葉にショックを受けてしまいます。さらに、とののスマートフォンが壊れてしまい、二人は連絡を取れなくなってしまいます。
「初恋ダブルエッジ」修平の思い
謡の弟・修平は、この出来事を複雑な気持ちで見ています。
修平は、事件のあと家族がどれほど大変だったかを知っています。
ある日、修平は戸野田と話す機会を得ます。
そこで、これまで胸の奥に抱えていた思いを打ち明けます。
3年前、謡が襲われた日のこと。あの日、自分が待ち合わせに行かなかったことを、修平はずっと悔やんでいました。
しかし、戸野田ははっきりと言います。
「悪いのは謡を襲った男であって、お前じゃない」
そしてこう続けます。
「謡とお前はきっと戦友みたいなんだろうな」
この言葉は、長い間自分を責め続けてきた修平の心に深く刺さります。
「初恋ダブルエッジ」前に進もうとする謡
謡は、自分も前に進みたいと決心します。
そして一人で、戸野田のいる街へ向かいます。しかし駅に着いても、どうしても降りることができません。
3年前の出来事を思い出し、怖くなってしまうのです。
電車を降りられず、行ったり来たりしてしまう謡。そのとき、謡は電話でこう言います。
「とのが好きで、この気持ちがあれば前に進めると思ったけど……でもダメだった」
そう言って涙がこぼれ落ちました。
「初恋ダブルエッジ」隣を走ると決めた戸野田
謡の話を聞いた戸野田は、すぐに彼女のもとへ向かいます。そしてようやく再会した謡に、戸野田はこう言います。
「おまえの過去を変えることはできないけど、この先のことは一緒に考えられる」
「過去がおまえを逃がさないなら、追いつかれないように俺が一緒に走り続けてやる」
「だから、もう一人だけで怯えなくていいよ」
過去は消えない。でも、未来は一緒に作ることができる。その言葉に、謡は涙を流します。
そして戸野田は、そっと謡を抱きしめます。
「初恋ダブルエッジ」戸野田という男の覚悟
3巻を読んでいて強く感じたのは、戸野田という人物の覚悟でした。
謡の過去は消えることがありません。トラウマも、フラッシュバックも、これから先ずっと続くかもしれない。
それでも戸野田は言います。
「俺じゃ足りないかもしれないけど、だからって誰かに譲れもしない」
この言葉には、恋の甘さよりも強い決意が込められているように感じました。
過去を変えることはできない。でも、この先の時間を一緒に歩くことはできる。
「追いつかれないように一緒に走り続けてやる」
そう言って隣に立つ戸野田の姿は、とても静かな覚悟を持った大人な男性だと思いました。
まとめ
『初恋ダブルエッジ』3巻では、過去と向き合いながら、それでも前に進もうとする二人の姿が描かれています。
謡はまだトラウマを乗り越えたわけではありません。それでも、誰かを好きになる気持ちは止められない。
そして戸野田は、過去を消すことはできなくても、未来を一緒に歩くことを選びました。
過去を背負ったまま、それでも恋をする。そんな二人の姿がとても印象に残る巻でした。
※『初恋ダブルエッジ』の作品全体について知りたい方はこちら
✅作品紹介記事はこちら(あらすじ・見どころまとめ)
▶︎「初恋ダブルエッジ」1巻レビューはこちら
▶︎「初恋ダブルエッジ」4巻レビューはこちら(準備中)
