
✽この記事は8巻のネタバレを含みます。未読の方は要注意⚠️
「俺が歌い続けていれば、牧さんはまた――」
ギターとドラムが抜け、存続の危機に立たされる the oops。
そんな中、boiboi!! の望月みつるが加入を申し出るが、優助の心は揺れていた。
これまで優助にとっての“歌”は、
春雪への想いの捌け口だった。
その春雪がいなくなった今、
歌う理由そのものを見失っていたからだ。
しかし、バンド解散の危機を知り、
ゆかりが泣いていたことを知った優助は——。
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「スタジオカバナ」5巻ネタバレ感想
「恋の答え」ではなく、“生き方の軸”を見つける巻
8巻を読み終えたあと、
胸に残るのは甘さでも切なさでもなく、
「ああ、この子たちは“人生”を生き始めたんだ」
という感覚でした。
ここから詳しく見ていきます。
■ みつるの決意と、大悟の覚悟が“大人すぎる”
みつるは、優助のバンドに入りたい気持ちを大悟に相談しに行く。
大悟の言葉が重い。
「私も本職の片手間でやってる。
優助が本気出すなら、腹括る」
この一言で、“遊びのバンド”ではいられなくなる。
みつるも決意する。
「俺が優助を説得する」
ここから8巻は、“気持ち”ではなく“覚悟”の話に変わっていく。
■ ゆかりが泣いた理由が、あまりにも静かで深い
the oops の解散危機を知り、ゆかりは涙を落とす。
その理由が、本当に美しい。
「これから離れ離れになっても、
優助が歌っていれば、見失わずに済むと思ってた」
恋人になれなかったとしても、一緒にいられなかったとしても、
“歌が続いていれば、心は繋がっていられる”
そう信じていた。
この想いを知った瞬間、8巻はもう名巻確定です。
■ 「才能があるのに諦めるな」——みつるの真正面の言葉
みつるは、迷う優助に真正面からぶつかる。
「優助には才能がある。
それなのに諦めるなんて間違ってる」
そして決定打。
「待ってる人もいる。
牧さんも、泣いてた」
優助は動揺する。
ここで初めて、自分の歌が“誰かの支え”になっていたと知るから。
■ 社会の現実と、岩浪の“正論パンチ”
テストライブをやることになり、
大悟からは
「会場押さえるところから、全部自分たちでやれ」
と言われる。
岩浪に相談すると、返ってくるのは容赦ない正論。
- 集客
- 採算
- 需要
- 現実的な戦略
優助は論破され、社会の厳しさを初めて真正面から突きつけられる。
でも、ここで終わらない。
■ 感情が乗らない歌——春雪のいない歌の空虚さ
練習で合わせる曲は、かつて春雪への感情を吐き出した代表曲。
でも、今までのように歌えない。
「感情が、乗らない」
この瞬間、優助は気づいてしまう。
- 自分は感情任せで歌ってきた
- 何も考えず、流されるまま活動してきた
- “届ける先”を考えたことがなかった
だから、春雪がいなくなった瞬間、歌う理由も見失っていたのだ。
■ マーケティングの話と「誰に届けたいか」という問い
岩浪から渡されるマーケティングの本。
そして、
初めて突きつけられる問い。
「誰に届けたい?」
優助の頭に浮かんだのは、一人だけ。
ゆかり。
ここで、歌は”捌け口”から“誰かに差し出すもの”へ変わる。
この転換が、8巻最大の転機です。
■「気づけるってことは、できるってこと」
深く落ち込む優助に、
岩浪は言う。
「気づけるってことは、できるってことだ」
失敗じゃない。遅れているだけでもない。
“今、気づいた”だけ。
この言葉が、優助をもう一度奮い立たせる。
■ みつるの本気——「ファンでも友達でもなく、仲間にしてほしい」
みつるが作った曲を聴き、戦略まで考えていることに驚く優助。
優助は言う。
「みつるなら、俺じゃなくても…」
でも、みつるは否定する。
「優助がいいんだ」
「ファンでも、友達でもなく、
仲間にしてほしい」
ここ、本当に胸を打たれます。
そして——
新生 the oops が誕生する。
■ みつるの物語——“心の芯は6本でもいいですか”
みつるの家は母子家庭。
母から言われていた言葉。
「心に一本、心を通して生きなさい」
父親代わりとして歳の離れた妹を守ってきたみつる。
しかし、母の再婚で揺らぐ居場所。
ギターを弾きながらの独白。
「母さん。
俺の心の芯は6本でもいいでしょうか」
「この6弦だけは、俺を裏切らない」
そこへ妹の一言。
「お兄ちゃんのギター、好き」
——呼び方は、なんでもいい。
——俺は、俺だ。
このシーン、8巻屈指の名場面です。
「スタジオカバナ」8巻のテーマ
- 歌は“感情の捌け口”ではなく“誰かに届けるもの”
- 才能よりも、覚悟
- 恋よりも先に、生き方の軸
- 仲間とは、並んで立つ存在
8巻は、青春漫画から人生漫画へのジャンプ台。
「スタジオカバナ」心の学び
何かを続ける理由は、「好き」だけでは足りない。
- 誰のために
- 何を届けたいのか
- 自分は、どう在りたいのか
それが見えたとき、初めて“続ける力”になる。
優助は、ようやくその入口に立った。
「スタジオカバナ」まとめ:8巻は“スタジオカバナ”が本気になった巻
- 優助は歌う理由を見つけた
- みつるは仲間になった
- バンドは再生した
- ゆかりの想いは、歌に託された
8巻は、物語の第2章の始まり。
ここから先は、“恋の結末”だけじゃなく、“人生の選択”が描かれていきます。
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