
「消してしまえばいい、心変わりした罪悪感と一緒に――」
ゆかりへの恋心を自覚した優助は、春雪との歪な関係を終わらせないまま、新しい恋を育てようとしていた。
だが、向き合うことから逃げ続けた“ツケ”は、季節外れの雪とともに、静かに、確実に降り積もっていく——。
「スタジオカバナ」6巻ネタバレ感想
6巻を読んでまず思うのは、
この物語、誰も“完全な悪”じゃない。
でも、全員が誰かを傷つけてしまっている。
そして6巻は、
その傷と、ちゃんと向き合う巻です。
■ えりなの言葉が示す「恋は歯車」という真理
ゆかりとえりながカフェで話すシーン。
ここ、名シーンです!
えりなの言葉。
「恋愛って、小さな歯車の巡り合わせの積み重ねだよね」
みつるの告白。「彼氏がいなければ付き合っていたかもしれない」という現実。
誰かが悪いわけじゃない。タイミングが、ほんの少し違っただけ。
そしてえりなは、ゆかりのことを本気で心配している。
「いい感じなのに、タイミングだけでうまくいかないのは嫌だな」
ここが、この巻全体の伏線。
6巻は「タイミングを誤った恋」が、どれほど簡単にすれ違ってしまうかを描いています。
■ ハルキの自己認識と、大悟の“本当の優しさ”
大悟に打ち明けるハルキ。
- 承認欲求で優助を利用していた
- 傷つけたことも分かっている
- でも、失いそうになって初めて「好きだった」と気づいた
この後悔は、取り返しがつかない。
だからこそ大悟の言葉が重い。
「まずは自分のダメなところも含めて、認めてあげてほしい」
ここで重要なのは、大悟がハルキのためだけに言っているわけじゃないこと。
実はこの助言は、“優助を手放してもらうための導線”でもある。
大悟にとって一番大事なのは優助。「人並みな、幸せな恋愛をしてほしい」その願いからの行動。
■ 恋を自覚した優助の世界が、あまりにも変わりすぎた
ゆかりと再開する勉強会。
もう、優助の視界が違う。
「ゆかりが可愛く見えて仕方ない」
恋って、こんなにも世界を変えるのかと優助自身が一番驚いている。
そしてここで大きな変化。
● 曲作りに“自分から”挑戦しようとする
● ギターを自分で買おうと決める
● cabanaでバイトを始める
誰かに依存していた優助が、自分の足で立とうとし始めている。
これは6巻の最大の成長ポイント。
■ ハルキから逃げた“罪悪感”と、向き合う恐怖
文化祭以降、ハルキとは会っていない。
電話も出ていない。
罪悪感はある。でもそれ以上に——
「ゆかりとの時間が壊れるのが怖かった」
ここが、優助の未熟さ。
優しさゆえの逃避。誰も悪者にしたくないがゆえに、一番大事な“清算”を後回しにしてしまう。
■ 校門前の邂逅——すれ違いの極致
勉強会の帰り、校門前に立つハルキ。
ハルキはゆかりの姿を見て立ち去ろうとする。
追わない優助。
でも、ここでゆかりが言う。
「伝えたいことがあるなら、言わなきゃダメだよ」
ここ、本当に大事。
ゆかりは、自分が傷つくかもしれないのに、優助に“向き合う勇気”を渡した。
■ きちんと終わらせた関係、そしてハルキの最後の言葉
優助は追いかける。そして、関係は終わる。
ハルキの言葉。
「私の方から振らせてくれて、ありがと」
この一言に、ハルキの精一杯のプライドと、優助への最後の優しさが詰まっている。
これは勝ち負けじゃない。ちゃんと終わらせた恋。
■ ゆかりの勘違いと、すれ違う想い
一方で、ゆかりは「ごめん」と残してハルキのもとへ向かう優助をみて、「自分は振られた」と思い込んでしまう。
えりなだけが気づいている。
「これ、すれ違ってるだけじゃない?」
6巻の最大の切なさはここ。
ちゃんと前に進んだのに、ちゃんと伝わっていない。
■ あかねとハルキの高校時代——支え合いの形
最後に描かれる、あかねとハルキの過去。
気が合わなかった。群れるのが嫌だった。でも、事故のような出会いから生まれた関係。
大悟がゲイだと気づいたことをきっかけに、本音で話せるようになった2人。
「嘘つかないから嬉しい」
優助との関係が終わり、髪を切ったハルキを、「似合ってる」と言うあかね。
ここに、恋じゃない“信頼”の形がある。
ハルキは、あかねがそばにいれば大丈夫なんだと思う。ハルキは自分には何もないと言っていたが、ここに素晴らしい友情があることを気づいていてほしいと願った。
「スタジオカバナ」6巻のテーマ
- 逃げた恋は、必ず追いかけてくる
- 優しさだけでは、誰も救えない
- 終わらせることも、愛のひとつ
- 恋は「清算」してからじゃないと始められない
6巻は、物語の“感情の大掃除”の巻。
「スタジオカバナ」心の学び
誰かを大切にしたいなら、
向き合わなければいけない。
逃げないこと。
曖昧にしないこと。
ちゃんと終わらせること。
それができて、
初めて新しい恋に進める。
優助は、ようやくそこまで来た。
「スタジオカバナ」まとめ:6巻は“本当のスタートライン”
- 過去を終わらせた
- 自分の足で立ち始めた
- でも、想いはまだすれ違っている
6巻は終わりの巻であり、本当のスタート前夜。
ここから、ゆかりと優助の物語はようやく同じ方向を向いて進み始めます。
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