
✽この記事は3巻のネタバレを含みます。未読の方は要注意⚠️
優助(日下)が春雪との閉塞した関係に苦しむ一方で、
ゆかりの中では優助への想いが日に日に膨らんでいく。
「友達から前へ進みたい。」
そんな決意を胸に、ゆかりは勇気を出して優助を夏祭りに誘う。
そして花火の夜、手を取り合うふたりの距離は、ようやく少しだけ縮まる。
TikTokで話題沸騰の音楽×青春ラブストーリー、切なさが増す第3巻。
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「スタジオカバナ」3巻ネタバレ感想
◆「恋が動き出す巻」ではなく——“ゆかりが前へ進み、優助が過去に足を引かれる巻”。
2巻までの優助は「不毛な恋に溺れる少年」。
一方で3巻のゆかりは「誰かを好きになる勇気を学ぶ少女」。
この巻では、ふたりの恋の進むスピードが明確に違う。
それが痛いほど胸にくる。
ここから深掘りしていきます。
■ 優助の曲づくりに“ゆかり”が入り込む瞬間が尊い
バンドメンバーにダメ出しを食らい、「歌詞が重い」「ワンパターン」と言われ落ち込む優助。
そんな優助が思いつく。
「牧さんのこと書けばいいのか?」
この一言が示すものは大きい。
● 春雪ではなく、ゆかりが心に浮かんだ
● ゆかりの“まっすぐさ”に救われている
● 自分の表現に、初めて“正の感情”を使えると気づいた
優助はまだ自覚していないけれど、創作の源が「苦しみ」から「癒し」へと変わっている。
これは恋の始まりではないかもしれない。でも、“心の向き”が変わっている。
■ ゆかりの恋は、健やかさそのもの。「好き」が人を強くする描写が光る。
ゆかりは気づいてしまった。
- 自分が優助を好きだということ
- 優助の恋が報われていないということ
- 自分も誰かに“選ばれたい”と思ってしまうということ
そして、自己嫌悪に陥る。
「あんなに悲しい顔するくらいなら、いっそフラれちゃえばいいのに…
そんなこと思う自分が、自己中で嫌だ。」
読者としても痛いほどわかる。
でも、親友のえりなの言葉がすべて。
「人を好きになるって、そういうことだよ。」
この肯定はゆかりを強くし、彼女の恋に“前に進む力”を与える。
だから、夏祭りに誘える。だから、手をつなぐ勇気が出る。ゆかりの恋は本当に美しい。
■ 優助の変化:ハルキの電話をゆかりの前で取らなかった
“ハルキからの電話をゆかりの前で取らなくてよかった”
これは優助に芽生えた “誰かを傷つけないための配慮”。ハルキとの関係が壊れかけている証でもあり、ゆかりとの関係が育っている証でもある。
優助はゆかりに好意を自覚していなくても、ゆかりを“優しい世界”として扱い始めている。ここ、読んでいて泣けるほど優しい変化。
■ 優助の言う「そんなんでいいんだよ」が痛すぎる。
曲づくりのために、優助がゆかりに聞く。
「どんな恋愛がしたい?」
ゆかりが理想を語ると、優助は静かに言う。
「手を繋いだり、なんでもない会話して、その辺散歩したり…
そんなんでいいんだよ。」
この“そんなんでいい”の裏には、
- そんな恋をしたことがない
- 手を繋ぐ相手にもなれなかった
- 恋人として扱われたことがない
- 本気の恋の相手として大切にされた経験がない
という、優助の“欠落”がつまっている。
ゆかりが願った感情も象徴的。
「好きな人に、あんな表情をさせない恋愛がしたい。」
2人の恋の質の違いがくっきり浮かび上がる名シーン。
■ ライブ会場:ゆかり × みつるの“片想いコンビ”が絶妙すぎる
えりなの友達・みつると仲良くなるゆかり。
SNSで繋がっていた“日下ファン仲間”だと知って盛り上がる。
そして、互いが片想いだとわかり、自然と共感が生まれる。
この瞬間を見た優助は——
めちゃくちゃ面白くなさそう。
恋を自覚していないくせに、嫉妬だけはする。これが優助のかわいいところでもあり、未熟なところでもある。
■ 夏祭り:ゆかりの恋が“自分で前へ進む恋”へと変わる
ゆかりは覚悟を持って優助を祭りに誘う。浴衣姿の優助は周囲の視線をさらってしまうけれど、ゆかりの目には他の誰でもなく、優助だけが映っている。
そして、ゆかりが手を繋ぐ。
この能動性が、ゆかりの恋を特別にしている。
優助の心の奥にある“寂しさ”ではなく、“あたたかさ”に触れたいと願う恋。読者目線でも雷が落ちたような瞬間。
■ 「憧れの人が歌ってと言ったから始めた」
優助のバンドの原点が切なすぎる。
花火をしたあと、ゆかりの問いに答える優助。
「なんでバンド始めたの?」
「憧れの人に歌ってと言われたから。
何もなかった自分を埋めてくれた。俺にはそれしかなかった。」
優助の恋は、恋というより“依存”だった。救われたように見えて、実は奪われていたものの方が多い。ゆかりとの時間のやわらかさとの対比が余計に苦しい。
■ ハルキの電話で、すべてが“また崩れる”
優助とゆかりが、ようやく同じ景色を見始めたその時。ハルキから電話が鳴る。
優助は動揺し、スマホを水のバケツに落としてしまった。(故意に落としたのかもしれない)
「ああ、まただ・・・」
そう読者に突きつけるシーン。
優助はまだ、過去に引き戻されてしまう。
3巻のラストは、“恋が始まりかけた瞬間に、また過去に引きずられる痛み”が凝縮されている。
「スタジオカバナ」3巻のテーマ
● 恋は、前に進む勇気と、過去に引かれる痛みの両方を持つ
● 満たしてくれる恋と、奪ってしまう恋
● 優助はまだ「救われる準備」ができていない
● ゆかりの恋は、自分で選び、掴みにいく恋
3巻は、優助とゆかりが“同じ場所にいない”ことを痛いほど実感する巻。
「スタジオカバナ」3巻 心の学び
恋はタイミングではなく、「心の状態」で変わる」。
優助はまだ、自分を大切にできていない。だからこそ、誰かを大切にする恋に踏み出せない。
ゆかりは、自分の恋を肯定した瞬間から前に進めるようになった。
恋に必要なのは、
● 勇気
● 自分を信じる気持ち
● 傷つく覚悟
この3つ。
ゆかりはすでにこれを手にしている。優助はまだ手にしていない。その差が切なくて美しい。
「スタジオカバナ」まとめ:3巻は“希望と痛みの両方が走る巻”
● ゆかりは前に進む
● 優助は迷い続ける
● 過去が呼び戻す
● 未来が少しだけ見える
この巻は、
ゆかりが恋を掴みにいく強さを得た巻であり、
優助がまだ傷の中にいることを思い知らされる巻。
ここからの4巻以降の展開が楽しみすぎる。
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