
10巻は、これまででもっとも“恋の切なさ”が濃く描かれた巻です。
すいれん、川澄、後平──誰も悪くない。誰も嘘をついていない。それなのに心がぶつかってしまう。
静かで穏やかな作品だからこそ、この巻の痛みは胸に深く刺さります。
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✅ 「日々蝶々」作品紹介・全巻まとめレビュー
「日々蝶々」10巻 あらすじ【ネタバレあり】
後平のアドバイスを受けて、少しずつ変わっていくすいれん。
弱い自分を変えたい、強くなりたい。そんなすいれんの前向きな気持ちに、川澄はほんの少し不安を覚える。
嫉妬なのか、心配なのか、その両方なのか──川澄の胸は穏やかではない。その揺れが、ある行動として表れる。
◆「日々蝶々」屋上での“頬キス”。川澄くんの嫉妬と不安が溢れた瞬間
すいれんに変化が見える。後平と話す姿も見る。そんな中、屋上の陰で突然──川澄がすいれんの頬にキスを残す。
セリフは少ないのに、すべてが伝わるシーン。
「心配ならいつもしてる」
という川澄の言葉には、
・変わっていくすいれんへの不安
・後平への嫉妬
・弱い自分への苛立ち
・それでも大切にしたい気持ち
その全部が混ざっている。
◆「日々蝶々」一方、後平の恋も止められなくなっていく
すいれんは、ある日いつものカフェで後平に会う。そのまま話すために外へ連れ出される。そこへ川澄が現れ、後平はすいれんにひとことだけ残す。
「ごめんな」
この“ごめんな”の意味が深すぎる。
・すいれんを連れ出したことへの謝罪?
・すいれんを好きになってしまったことへの謝罪?
・川澄に対する後ろめたさ?
読者の胸をざわつかせる名シーン。
◆「日々蝶々」小春と後平の関係にも動きが…?
道場で後平とばったり会う小春。以前は川澄に一途だった小春だが、合コンで後平と出会い気になる存在に。でもまだ、後平のことを「好き」と認めたくない。
一方、後平も、小春から「好きな子いるのか?」の問いに「いないけど、そうなりそうな子はいる」と伝える。小春から「それ、もう好きじゃん」と言われ、自分の気持ちを認めざるを得なくなる。
それぞれの恋が静かに動いていく・・・。
◆「日々蝶々」川澄が感じた“察し”のシーンが痛い
すいれんは、後平から「どうやったら(すいれんは)笑うの?」と聞かれたことを川澄に伝えると、川澄はその意図を察してしまう。
その瞬間の表情が、痛いほど切ない。川澄にとって後平は“憧れの人”。だからこそ真実を知ることが複雑で、怖い。
◆「日々蝶々」後平の告白──「振られて諦めるための告白」
ある日、部活で送れない川澄に代わり、後平が校門ですいれんを待っていた。
「送ってやる」と言い、そのまま連れて行く。
後平はすいれんへの「恋」を認めたくなくて、確かめに来た。でも揺れる心をごまかせなくなる。そして、ついに告白する。
本気で言った告白ではない。“振られて終わらせるための告白”。
その証拠に、すいれんが川澄を選んだことを「あいつを選ぶなんて、見る目あるな」と言っってくれた。
もう涙が出るほど最高のセリフ。優しさと痛みが同時に存在している。
◆「日々蝶々」川澄、不安で胸が潰れそうになる
友達から「後平がすいれん連れてったよ」と聞かされた川澄は、不安で押し潰されそうになる。
後平は憧れの人。自分には勝ち目がない――川澄の表情が切なすぎて・・・
◆「日々蝶々」文化祭──2人の“本音”が交差する瞬間
川澄は文化祭で後平を見つけ、ついに向き合う。
「後平くんは、俺の憧れで、友達だ」
それに対し後平は、
「俺とお前はずっとライバルだろ」
宣戦布告のようにも聞こえるけれど、実はそうではない。
去ろうとする後平に、川澄は
「ずっと大事にしたいって思ってる。
柴石さんも…後平くんも」
“誰かを選ぶ”のではなく、“誰も傷つけたくない”という川澄の心がまっすぐ描かれた場面。
◆「日々蝶々」最後の勝負──後平の手紙
部活を終えて帰宅すると、家の前に後平がいた。
空手の試合への申し込みのため。その手紙にはこう書かれていた。
「これが最後だと思う。」
この言葉が重い。恋としてなのか、ライバルとしてなのか、気持ちの終わりなのか──全部の可能性が胸を締めつける。
川澄は試合の話をすいれんに伝える。すいれんは静かに言う。
「私はここで待ってる」
たった一言なのに、信じる気持ちと愛情の深さが伝わる名シーン。
「日々蝶々」10巻の見どころ♡
① 川澄の“頬キス”
嫉妬・不安・愛情が一気に溢れた瞬間。
② 後平の「ごめんな」の意味
このセリフ1つで心がざわつく。
③ 小春と後平の恋の兆し
静かに始まり、静かに痛む。
④ 後平の告白
振られるための告白という切なさ。
⑤ 川澄と後平、2つの“好き”
恋と友情の狭間で揺れる関係が美しい。
⑥ 最後の試合の伏線
後平の「これが最後だと思う」が胸に刺さる。
「日々蝶々」まとめ♡
『日々蝶々』10巻は、“好きになってはいけない人を好きになってしまう痛み”“両想いでも揺れる心”“友達でいたいのに恋が邪魔をする”そのすべてをやさしく、丁寧に描いた切なすぎる巻でした。
すいれんと川澄、
川澄と後平、
後平とすいれん。
3人の心がすれ違い、ぶつかり、でも誰も悪くない。
この巻は、静かなのに、激しい。優しいのに、痛い。
そして──試合の行方、3人の関係の行方、すべてが次巻に託される。11巻が待ちきれません。
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